2012年7月 今月の星空

今月のハイライトは15日の木星食です。欧州からは全行程観望出来ます。日曜の朝に起こる天体現象なので、時間を気にしないで観望出来ます。

夏至は過ぎても、夜光雲の季節はこれからです。更に太陽活動が活発になると、通常対流圏上層部の大気がイオン化されず、それの伴い氷の雲が出来づらくなり、夜光雲も発生しづらいのですが、6月にはかなりの頻度で発生しています。
薄明が終わる頃北の空が青白い波を打つような薄い雲が見えたら、それが夜光雲です。美しい光景を見るのは大変喜ばしいのですが、この現象が頻繁に現れるのが良い傾向でないと言うのは悲しい事実です。
夜光雲はオーロラの様にアレート情報が有りませんので、毎日注意して夜空を観望するか、独流星研究会大気光学部門のBBSをこまめにチェックして下さい。

夜空も夏の星座に入れ替わりました。東の空には白鳥座のデネブ、こと座のベガ、ワシ座のアルタイルで構成される夏の大三角が見えています。うしかい座とおとめ座が西に傾きました。南の低いところにはさそり座の頭が見えています。天頂にはヘラクレス座の大きな四角が、その南にはへびつかい座が大きく広がっています。北の空高くにりゅう座が横たわり、おおぐま座は西に傾き、北極星をはさんだ北東の空にカシオペア座が高度をあげてきました。北の空低い所にはぎょしゃ座のカペラが見えています。カペラは高緯度のドイツでは一年中地平線下に沈まない周極星になっています。

とにかくドイツの夏の夜は短いのが玉に瑕ですが、それでも双眼鏡で観望出来る星雲、星団が沢山有ります。夏の銀河はもっと賑やかになります。是非、双眼鏡での夜空の散歩をしてください。
いて座とさそり座付近の星雲星団群(M4、6、7、8、20、22)アンドロメダ座のアンドロメダ大銀河(M31)、ペルセウス座の2重星団(h-χ、エイチ・カイと読む)と散開星団(M34)ヘルクレス座の散開星団(M13)へび座の散開星団(M5)と見ものは一杯。
正直言って、望遠鏡より双眼鏡での観望の方がよっぽど楽しいですね。倍率は7倍も有れば十分です。

今月の惑星は何所でしょうか?
金星は徐々に太陽から離れ、明け方東の空で木星と仲良く並んで昇って来るのが見えます。火星と土星は日没後の空で観望出来ます。土星も火星に近づき、下旬頃日没後の暗くなった空で並んでいるのが見えます。水星は上旬ならば何とか東の空で見つける事が出来ますが、太陽に近い地平線上を移動するので見つけるのは難しいでしょう。


7月の天気

7月15日0時頃の空

南の空 北の空

拡大するには画像をクリック。

トピック

1日 水星東方最大離隔
1日4時 金星と木星が接近(東、高度10度、間隔4.8度)**必見**
15日 木星食**必見**
15日4時 金星が月に接近(東、高度10度、間隔6度)**必見**
24日22時 火星が月に接近(西、高度10度、間隔4.9度)
比較の尺度:月の視直径は0.5度(30分角)

惑星の位置関係と暦

写真集「惑星ランデブー」

太陽

日出、日没

月出、月没

惑星

今月の
内惑星の位置
外惑星の位置
惑星の暦
水星
1日に東方最大離隔となる水星は太陽から離れますが、地平線に近いところを移動する為、観望は難しいでしょう。
金星
先月6日に内合となった金星は、夜明け前の空で観望出来ます。光度も-4.7等と夜空で最も明るい星です。
火星
没が早くなった火星は、未だ日没後の空で観望できます。光度は1.1等迄落ちます。望遠鏡で見る火星は視直径5.8秒角、日照面90%です。
木星
5月13日に合となった木星は夜明け前の東の空で観望出来ます。15日早朝には月による木星食が見られます。
土星
没が早くなった土星は夜半前ならまだ観望可能です。おとめ座のスピカと火星の近くなので、見つけやすいでしょう。
天王星
出の早くなった天王星は夜明け前の空で観望出来ます。5.9等と大変暗いので見つけるのは望遠鏡が必要です。
海王星
出の早くなった海王星は夜明け前の南東の空で観望出来ます。7.8等と大変暗いので見つけるのは望遠鏡が必要です。
冥王星
先月29日に衝となった冥王星の一晩中観望出来ます。光度は14等です。

流星群

みずがめ座δ流星群 δ-Aquiriids (SDA)
夏の夜の大変地味な流星群の一つです。山羊座δ群とほぼ同時に極大を迎えます。
輻射点は夜中に南の空低いところにあります。今年はほぼ満月に近い月が有り、条件は余り良く有りません。

出現期間 7月11日〜8月18日
極大 7月27日
出現規模 20個/時間


山羊座δ流星群 δ-Capricornids (CAP)
夏の夜の大変地味な流星群の一つです。みずがめ座δ群とほぼ同時に極大を迎えます。
輻射点は夜中に南の空低いところにあります。今年はほぼ満月に近い月が有り、条件は余り良く有りません。

出現期間 7月2日〜8月14日
極大 7月29-30日
出現規模 10個/時間