ドイツの気象状況

概要
気団
気圧配置
昼と夜の長さ比較
日照時間
気温と降水量
各月の天気

大気光学現象の記録
紫光の記録
夜光雲の記録



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概要

ドイツは幅(西-東)632 km、長さ(北-南)876 kmのかっこの悪いジャガイモのような形をしています。地理条件の特徴は、北が海に面し南に向かって平地が続き、南端では内陸に位置しイタリア半島がユーラシア大陸と衝突した際に隆起した褶曲山脈(しゅうきょくさんみゃく)ドイツアルプスに面しています。この地理的条件により東西南北とそれぞれ特徴の有る気候を生み出しています。
暖かいメキシコ湾海流の影響を多大に受けるドイツは北緯48度から52度と高緯度に位置するにも関わらず、内陸や日本の様に極東にある国々に比べて比較的温暖です。その為にドイツの西側は温暖で高湿度な西岸海洋性気候で、夏は涼しく冬は暖かく、平均気温の差は大きく有りません。それに対し東側はユーラシア大陸の寒気の影響を受ける為に冷帯湿潤気候となり、夏は大変暑くなり冬は極端に冷え、その温度差は西側に比べて大変大きくなります。この東側の気象条件は大気中に氷を形成させ、大気光学現象(ハロ)を起こすのに大変都合が良いようです。ドイツ全土が快晴でも、東側でハロが目撃されても西側では何も見えない事は多々有ります。南部は東側と同じく大陸寒波の影響を受け易く、気候はかなり似ていますが、アルプスに面しているために湿気が抜けてしまった暖かい空気が南西から流れ込んで来る為にフェーン現象が起こりやすくなっているます。北部も大陸寒波の影響を受けますが、保温性の高い水に近い為に夏と冬の温度や降水量の差が他の都市に比較して最も小さいのが特徴です。
ドイツで初夏から秋にかけてやって来る大雨を降らす低気圧はメキシコ湾で猛威を振るったハリケーンで、途中でエネルギーを失った熱帯低気圧が殆どです。中央ヨーロッパの平原部では低気圧がやってきても引っ掛かる巨大な山岳が存在しないので、日本の梅雨の様なジトジト雨が降る事は余り有りません。むしろシャワーと言われる雨が降ったり止んだりします。風も地球の自転の影響で西側から吹くので、シャワーが繰り返し降る時は雨を見送る又は迎えるように観望する為に一日に何回も虹を見ることが出来ます。冬は日中でも太陽高度が低い(冬至時の正午で高度16.5度)ので北の空に虹が現れたりします。 ドイツは極地ではないのですが、大変高緯度に有る為に条件が^揃えばオーロラ(1. 2. 3.)や夜光雲も観望出来ます。

気団

中央ヨーロッパの気候は大きく分けて12の暖寒気団の影響を受けます。
ドイツの天候は主に大西洋からやって来る暖かい湿った暖気団とロシアからやって来る大陸性寒気団によってほぼ決まります。夏は蒸した地中海暖気団と暑い北アフリカ暖気団、冬は北極寒気団と最も冷たい空気を運んでくるシベリア寒気団の影響を受けます。
各気団の特徴:
北シベリア寒気団
大変冷たく乾いた空気を運んでくるのがこの寒気団です。北シベリアで発達するこの寒気団は旧東独の天候に大きな影響を与えます。
ロシア寒気団
中央ロシアで発達する冷たく乾いた寒気団です。東ドイツ(旧東独から北東バイエルン地方)がこの寒気団の強い冷たい風の影響を受け、冬では外気の体感温度を更に下げます。
北極寒気団
スカンジナビアからやって来る冷たい湿った寒気団です。湿気を運んでくるこの寒気団は北ドイツから中央ドイツに降っては止み、止んでは降るシャワーの様な雨を降らします。そしてこの気団が南ドイツに辿り着くとドイツアルプスにぶつかり巨大な雲の壁を形成しジトジト雨を降らします。
グリーンランド寒気団
この寒気団の故郷は北極ですが、大西洋を渡ってくる間に空気は比較的暖かい、しかも湿気の多い寒気団として中央ヨーロッパにやって来ます。この寒気団は北西ドイツの天気に影響を与え、一年を通して比較的暖かい気候を作り出しています。
回帰北極寒気団
この寒気団の故郷も北極ですが、大陸を回ってヨーロッパに入ってくるので、空気は温まっていますが湿気が無く乾いています。発生率はさほど多くは有りませんが、南東ドイツ(バイエルン地方)がこの寒気団の影響を受けます。
北大西洋寒気団
大西洋上で発生する比較的暖かく湿気の多い寒気団です。水は大陸ほど夏と冬の温度差が大きくないので、気団がもたらす空気は冬暖かく、夏涼しいのが特徴です。英国の気候が比較的温暖で高湿度なのはこの気団の影響を受ける為です。又一年を通して発生率が高く、英国に近い北西ドイツの気候をも温暖にしています。
大西洋暖気団
アゾレス暖気団の大元です。暖かく湿気が多いこの気団が冷たい地面で冷やされた空気とぶつかり、フランス南部と南西ドイツに多くの雨をもたらします。そして湿気を失った暖かい空気が南西ドイツ(バイエルン州)に流れ込むとフェーン現象を起こします。
地中海暖気団
高温高湿の気団です。ヨーロッパ南部に蒸し暑い空気をもたらします。
アフリカ暖気団
サハラ砂漠で発達する暑い乾いた気団です。サハラ砂漠の砂をヨーロッパに運んでくる気団ですが、統計的に一年に一度位の発生率です。
大陸性暖気団
アジア大陸の方からやって来る暖かい乾いた気団です。一年を通して南から暖気団が押し寄せてくる時は地中海暖気団の影響の方が遥かに大きく、この気団の影響はハッキリとはしていません。
停滞大陸気団
中央ヨーロッパで発生する乾いた気団です。冬は寒く、夏は暑くなります。

気圧配置

地球の公転によって季節が生まれます。又首振り運動と自転によって季節風が発生します。 それぞれの地理条件と日照度によってさまざまな気団が発達し、その影響の程度によって季節による気圧配置がおのずと決まってきます。


気圧配置 天気
発生
配置型 風向き 高気圧 低気圧 特徴 確立/年 時期
高気圧 不特定 ドイツ -- 大変暖かい 大変寒い 好天気 17%
西型 西 スペイン バルト海 涼しい 温暖 雨が降りやすい 27% 8月
北西型 北西 フランス 東欧 涼しい やや寒い シャワーのような雨が降る 10%
北型 英国 バルカン半島 涼しい 寒い シャワーのような雨が降る 13% 6月
北東型 北東 北欧 地中海 暖かい 寒い 乾燥している 13% 5月
東型 バルト海 スペイン 大変暖かい 大変寒い 乾燥している
南東型 南東 東欧 フランス 大変暖かい やや寒い 雨が降り易い 7%
南型 バルカン半島 英国 暖かい 温暖 乾燥、フェーン現象
南西型 南西 地中海 北欧 暖かい 温暖 長雨 7%
低気圧 不特定 -- ドイツ 涼しい 寒い 降雨降雪量が多い 6%

無風

暖かい 寒い 降雨無し、霧が発生し易い

昼と夜の長さの比較

高緯度に有るドイツは地球の首振り運動の為に夏と冬で昼間の長さが極端に異なります。6月の夏至の頃は夜中で北の空がぼんやりと明るく、闇夜にはなりません。12月の冬至の頃の日の出から日没迄はたったの8時間しか有りません。日本の昼より冬は2時間長く、夏は2時間短くなります。
夏時間は70年始めのオイルショックの余波で、昼間を有効に使いエネルギー節約の為にフランスが先ず導入しました。ドイツはフランスに協調し1980年から導入しました。しかし、実際に大幅な省エネになっているか言うのは実証されていません。夏時間は3月の最終日曜日から始まり、2時から3時が抜けて日本との時差が-7時間になります。
冬時間は10月の最終日曜日に始まります。この日は2時から3時が2度有り、一日が25時間になります。日本との時差は-8時間。通常冬時間が中央ヨーロッパの標準時とされています。

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日照時間

ドイツの日照時間は日本の北陸に大変似ています。高緯度の為に昼の長さが全く異なるのも一役買って日照時間も夏と冬で極端に異なります。夏は大陸停滞高気圧が張り出し好天気が続き、冬は無風状態が続き一日中霧が晴れずに太陽が地面迄届かないのも一つの理由です。 南ドイツの年間平均晴天率は60%、北は50%です。大西洋からやって来る湿った暖かい空気と東欧からやって来る乾いた冷たい空気がぶつかり雲が発生し易くなるためです。ちなみにオーストリアの山間では夏でも25%です。

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気温と降水量

偏西風が運んでくる暖かいメキシコ湾海流の影響で、ドイツは高緯度にもかかわらず比較的温暖です。内陸でシベリア寒波の影響を受ける北緯48度付近の南部より52度付近で海に面した北部の方が平均気温が高くなります。
降水量も湿気の多い海からの風を受ける北部と北西部が多くなります。又南部でも山岳部に近い比較的標高の高い地方でも降水量は格段に多くなります。

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各月の天気

1月の天気

1月になると冬も本格的になります。Eistageと言われる平均気温が0度を上回らない日が南独のミュンヘンでは14日、西独のケルンでは4日に達します。日照時間は一ヶ月で約50時間。冬至が過ぎてもまだまだ暗闇での生活が続きます。1月は大西洋から張り出して来るメキシコ湾からやって来る湿った空気とカナダで発達した低気圧が合流して、雨や雪を降らす雲がヨーロッパを被います。このような日はさほど寒くありません。又、東欧で発達した大陸性高気圧が張り出してくると、空気は乾燥し天気は良くなりますが大変寒くなります。この時期が一年の内で最も平均気圧が高くなるときで有り、大気の動きの鈍い標高700m以下(上部の寒気と下部の暖気の境目)の平野部では独特の「冬スモッグ」が発生し易くなります。ドイツでは未だ薪を使った暖炉が使用されている所も多く、他の暖房設備でも二酸化炭素の発生は防げません。自動車の排気ガスを含め、これらが空気を更に汚している要素となっています。
統計的にお正月三ヶ日は雪が降り、その後中旬迄やや暖かい日が続き、15日から26日にかけては天気は回復しますが、空気は乾燥し寒くなります。月末は又寒さが緩んできます。
ドイツで良く言われる「1月が寒ければ、7月は暑くなる。」という諺は全く実証されていません。「1月の寒さが厳しければ、2月の寒さも厳しくなる。」はほぼ50%。逆に「1月が暖かければ、2月も暖かくなる。」の確立は80%に昇ります。
平均気温: 0.3 ℃
降水量: 48 mm
湿度: 85 %
日照時間: 54 時間/月
昼間の長さ: 8時間34分/日

2月の天気

12月末に日が最も短くなるのに、2月の気温が最も低くなるのを誰しもが一度は不思議に思うでしょう。
これは水の保温性と空気の不活性によるものです。しかし、ドイツでの各地の比較表を見ても分かるように、平野部と沿岸及び山岳部での平均気温が逆転しているのが分かります。要するに空気と水の冷える迄の時間は大地より長い為に起こる現象です。
2月の気圧配置は北西型が33%を占め、北、北東又は東型の気圧配置が25%も占めます。この東西の気圧配置の入れ替わりによって無風状態が最も多くなるのもこの月の特徴です。特に南ドイツではその傾向が多く、ミュンヘンでは18%、ベルリンでは5%の確立で発生します。 又北東型気圧配置は一年の最低気温を記録する冷たい空気をシベリアから運んできます。
場所 1月 2月 気温差
Sylt 沿岸部 0.9 0.4 -0.5
Zugspitz 山間部 -11.3 -11.5 -0.2
Frankfurt 平野部 0.7 2.2 +1.5
2月の天候は、上旬に比較的寒さが和らぎ、9日から10日に掛けて再び寒波が到来します。「バレンタインデーは水車小屋の水車も凍る」という諺が有るようにこの頃が最も寒くなる時期です。その後数日は又寒さが和らぎ下旬になると再び冬らしくなります。それでもこの頃から徐々に春のへと向かっており、月末は次第に寒さが和らいでゆきます。
2月が寒いとその後に続く月々も寒くなるというのは統計的に実証されていません。1771年から1970年迄の統計からのその確立は57%ですが、これは偶然だとも言えるでしょう。
平均気温: 1.4 ℃
降水量: 38 mm
湿度: 85 %
日照時間: 70 時間/月
昼間の長さ: 10時間7分/日

3月の天気

3月は冬と春の丁度境目。春分の日を境に日が長くなります。気温零度の境界線は海抜1000m迄上がり、日照時間もほぼ倍近く増えて、湿度は下がり気温は上昇します。それでも気象統計上3月でも気温が氷点下になり、標高200~400mの高地で雪を降らせる事も全くめずらしく有りません。
中旬から春分の日にかけてドイツ全土が高気圧に覆われる事が多くなります。3月に発生するこの高気圧は年間を通じて発生する高気圧の70%におよびます。4月に十分雨が降ることも条件ですが、この高気圧が3月に長く続くと収穫の多い年になると、農民の間では言われています。又この時期は東欧に高気圧が張り出し、南から暖かい空気が流れ込んでくる南東型気圧配置の為に南ドイツではフェーン現象が起こります。
3月の天候が後に続く月の天気に影響を及ぼす事を意味する諺は多数有りますが、実証されているものは有りません。
平均気温: 4.4 ℃
降水量: 44 mm
湿度: 76 %
日照時間: 135 時間/月
昼間の長さ: 11時間51分/日

4月の天気

4月の天気は気まぐれ、と言う諺が有ります。事実、4月の平均気圧は1013hpaと一年の中でも最も低く、天気も最も荒れる時期です。この原因は太陽高度、日照時間及び水の保温性に有ります。春分を過ぎた頃から昼が長くなります。南欧やアフリカの気温が太陽に熱せられてどんどん上がる一方、海を背にした北ドイツの気温はなかなか上がりません。後は物理の法則に従って温められた空気が未だ寒い北に向かって勢い良く流れ込むわけです。ドイツ上空ではこの流れ込んでくる暖かい空気が冷たい湿った空気とぶつかり雨雲を発生させ、雨を降らせるわけです。又南部でも高度を上げた太陽に地面が熱せられて地表近くの空気は温められますが、上空5000m程のところには未だ冷たい空気が残っているので、大変激しい上昇気流を発生させて積乱雲のような大雨を降らす雲を形成されるのです。
こうして4月に降る雨や雪は必ずしも悪影響を与えるものでは有りません。農民の間では「4月の深雪は痛くない」又は「4月に雨が降れば降るほど、作物が多く取れる」と言われる様に豊作に導く有り難いものとされています。近年の統計からすると、実際に雨の多かった4月は46%、逆に少なかったのは54%です。その46%の多雨だった4月の後に来る6月が少雨だったのは56%です。諺で「4月に日光より雨が多いと、6月は乾燥する」というのが有りますが、これは未だ偶然のうちに入るのでしょうか?
4月の気温は3月に比べ一挙に平均8.5度迄上昇します。最高気温は20~25度迄上昇する一方、最低気温は所によって氷点下10度迄下がることも有ります。降雪雨と雪解けによってもたらされる水で、中央ヨーロッパの各河川の水位は一年の内で最も高くなるのも4月です。
平均気温: 8.5 ℃
降水量: 40-50 mm
湿度: 70 %
日照時間: 170 時間/月
昼間の長さ: 13時間47分/日

5月の天気

5月は気象上、春3ヶ月目です。気温が0度位まで下がるのも5月が最後です。
日照時間も220時間迄増えて、気温と気圧が上昇します。その為にユーラシアに有った高気圧が大西洋側と移動し、欧州南東に低気圧が発生する事によって北型の気圧配置をつくります。その結果北から冷たく乾いた空気が流れ込み、涼しいが見晴らしきく良い天気をドイツ全土に運んできます。
この寒波は昔から「Eisheiligen(氷の聖人)」言われています。ドイツでは一年の各日毎に名前が与えられています。北ドイツでは11~13日でMamertus(11日、マメルトス)、Pankratius(12日、パンクラチウス)とServatius(13日、セヴァチウス)、南ドイツでは12~14日でPankratius、ServatiusとBonifatius(14日、ボニファチウス)頃に最後の寒波が訪れてくるので、この名前が与えられました。又ドイツアルプス地方では15日の「kalte Sophie(冷たいソフィー)」もこの寒波再来の時期に数えられています。一般の農家や家庭栽培を営む人達はこの日が過ぎるのを待って種まき等と行うのが未だに常識になっています。然し、気象上の過去の記録から見ると、20世紀に入ってからは「氷の聖人」の訪れは11~14日頃では無く20日頃に移行しているようです。
北型の気圧配置がもたらす冷たい風と、太陽によって温められる空気がぶつかり会って比較的雨が降り易くなるのも5月の天気の特徴です。農家には「5月に雨が多く涼しければ、納戸と樽が満たされる」という諺が有るように、十分な降雨はその年の収穫に良い影響を与えるようです。
平均気温: 13,3 ℃
降水量: 60 mm
湿度: 68 %
日照時間: 220 時間/月
昼間の長さ: 15時間25分/日

6月の天気

6月1日は気象上の夏の始まりです。太陽高度は60度以上になり、平均気温も5月に比べて更に3度上がり16.4度にもなります。6月の主な気圧配置は北型と北西型で35%を占めます。ドイツでの気圧は5月と殆ど変わらないのですが、ユーラシア大陸で高気圧がどんどん発達する為に中央及び東ヨーロッパで低気圧となります。そこへ大西洋で発達した高気圧によって湿った冷たい空気が進入してきて雨を降らします。これは6月特有の寒波の襲来で、ドイツでは「Schafskälte(羊の寒け)」と言います。これは羊が冬の間に生えた毛を初夏に剃られてしまい寒い思いをするのに見立てて付けられた名称です。この寒波は通常、上旬、中旬、下旬と数回繰り返しやってくるのが普通です。 6月に適当に雨が降るのは特に縁起の悪いことでは無いようです。ワイン醸造業者の間では「乾燥した6月の後は良いワインが出来る」と言われています。 ドイツには「Siebenschläfer(6月27日)に雨が降ると向こう7週間は雨が降る」という諺が有ります。今までの統計では27日に雨が降った後に平均以上に降雨の多かった年はほぼ50%。逆に27日が晴れた場合に乾燥した日々が続くのは70%です。この結果からは諺の信頼性は実証されません。
ちなみにこの「Siebenschläfer(7人の眠り聖人)」という名前の由来は、ローマ時代に7人のキリスト教徒が迫害を逃れるために洞窟に身を隠し、そこで195年眠り続けて奇跡的に助かったのが紀元446年の6月27日だったという伝説によるものです。
平均気温: 16,4 ℃
降水量: 70-80 mm
湿度: 69 %
日照時間: 200 時間/月
昼間の長さ: 18時間11分/日

7月の天気

7月に入ると夏も本番になります。過去100年の統計によると、年間最高気温を更新するのは46%の確立で7月中です。(ちなみに6月に最高気温を記録する確率は14%、8月に記録する確率は22%です。)又、最も降水量が多いのも7月です。この月は北ロシアに発生した低気圧と大西洋アゾレス諸島あたりに発生した高気圧の為に冷たい海の空気が中央ヨーロッパに流れ込んで来ます。この空気が温まりきったヨーロッパの空気とぶつかりモンスーン的な雨を降らせます。これが典型的な北西型の気圧配置です。
通常7月始めは高気圧に見舞われ、5日頃から11日位まで既に述べた北西型に気圧配置に変わり雨が降り易くなります。その後18日頃迄高気圧が張り出し天気が回復し、そして再び北西型気圧配置に変わり雨を降らします。
ドイツの諺で「マリア・マグダレーナの日(7月22日)に雨が降ると、向こう数日は雨が降り続ける。」、又は「7人の兄弟の日(7月10日)に雨が降ると、向こう7週間は雨が降り続ける。」というのが有りますが、これは実証されていません。しかしこの時期に異常な気温の低下によって天候が乱れると、その後にぐずついた天候が続くの普通ですし、逆に7月6日から11日頃に異常な高気圧(1020hPa以上)が発達すると、8月中旬迄通常好天気が続くものです。
補足ですが、1月の天気でも述べたように、ドイツで良く言われる「1月が寒ければ、7月は暑くなる。」という諺が全く実証されていないのと同様、「7月が暑くなれば、1月も寒くなる。」という諺も実証されていません。
平均気温: 18 ℃
降水量: 85 mm
湿度: 70 %
日照時間: 215 時間/月
昼間の長さ: 15時間57分/日

8月の天気

北西型気圧配置で比較的荒れやすかった7月に比べて8月は海、大陸共に十分暖まった為に安定した高気圧が発達します。
上旬の天気は7月の後半から発達している高気圧の為に大抵安定してます。15~23日頃は西型気圧配置の影響で大西洋で発達した低気圧がヨーロッパを被いぐづつき、その後は再び高気圧が発達します。気圧配置は西型へと変わりますが、平均気圧は1014hPaと前月と変わり有りません。
太陽高度も夏至の頃に比べると10度も低くなり、平均最高気温は7月に比べて1度低くなります。日中最高気温も8度から29度の間を行き来します。
ドイツでは「ロレンツの日(10日)に晴れると、秋が乾く。」という諺が有ります。過去の統計から見ても、この時期に好天気に見舞われると9月から11月に掛けて降雨量がほぼ80%の確率で例年より少なくなる事が分かっています。 又は「火(太陽)の無い8月が来ると、パンの値段が上がる。」という諺も有ります。8月前半に良く晴れるとその後も良く晴れる、と言う意味です。暑い8月は豊作を望む農家にとっては、それだけ大変重要な意味が有るものなのですね。
平均気温: 17 ℃
降水量: 75 mm
湿度: 73 %
日照時間: 200 時間/月
昼間の長さ: 13時間28分/日

9月の天気

9月は大変安定した高気圧が長く停滞する時期です。晩夏の小春日和をAltweibersommer(アルトヴァイバーソムマー、老婦人の夏)と呼んでいる程、この時期は第5の季節となっています。秋は特にクモの子が飛ぶ季節です。朝外に駐車してある車から道端の雑草まで銀色の糸で一杯になっているのを良く見かけます。この朝露一杯につけた糸が朝日を浴びてきらきらと輝く様子は大変美しいものです。この言葉の由来は、この糸が老婦人の白髪に見えることからつけられたと言われています。
9月の天気は上旬は8月に発達した安定した高気圧の為に暖かい日が続き、中旬はぐずつき、下旬は再び回復し高気圧に見まわれます。毎年ミュンヘンで行われるOktoberfest(オクトーバーフェスト、10月祭)が文字通りの10月で無く、9月の20日頃に開催されるのはその為です。
一般に8月に発達する高気圧の影響は9月の天気まで影響します。8月暖かければ9月も暖かくなる確率は70%。又8月が涼しければ9月も比較的涼しくなる確立は75%。しかも9月の気圧が平均(1017hPa)より高ければ、その年の冬は比較的暖かくなる事が分かっています。
平均気温: 14 ℃
降水量: 58 mm
湿度: 78 %
日照時間: 166 時間/月
昼間の長さ: 13時間30分/日

10月の天気

10月は秋本番です。太陽の高度も6月に比べると30度も落ち、日照時間も短くなります。1年の中で平野部では最も風が弱いのに対して、山岳部と沿岸部では秋の嵐が吹き荒れる時期です。初雪が降るのは11月中旬ですが、朝晩の気温が極端に低くなるものこの時期です。ドイツの森には針葉樹が多いので紅葉らしい紅葉は見られませんが、数少ない広葉樹の葉が黄色に染まるのをGoldener Oktober(ゴルデナー オクトーバー、黄金の秋)と呼び、過ごし易かった暖かい季節を惜しみます。
10月は一般に上旬はぐずつきますが、中旬は高気圧に見舞われます。
諺で「ウルスラの日(21日)にキャベツを取り入れろ、さもないとシモンの日(28日)に雪が降る。」と言われるように初霜が降りたりするのもこの頃です。10月に晴れる日が続き、ブドウが太陽の恩恵を沢山受けるとワインが美味しくなるとも言われていますが、26日迄にはブドウを収穫を終えるという習慣はここから来ています。
10月の天気は翌年1月の天気と韻がつけられることが多く、平均気温が1.5度高かった暖かい10月の後に来る1月は寒くなる確率は60%。その反対で平均気温が1.5度低かった涼しい10月の後に来る10月が暖かくなる可能性は56%です。更に平均気温が2度以上の大変暖かく、しかも乾いた10月の後には85%の確率で寒い冬が到来します。
平均気温: 9 ℃
降水量: 54 mm
湿度: 82 %
日照時間: 116 時間/月
昼間の長さ: 10時間47分/日

11月の天気

11月に入るといよいよ冬めいてきます。10月末には標準時が冬時間に戻り、昼の時間がどんどん短くなり、暗闇での生活が始まります。ドイツの平均気温は4.3度迄さがり、気象状況によっては氷点下以下の下がることも有ります。又湿度が高い為、夜冷え込むと霧が出やすくなります。昼が短く且つ弱いので地面が暖まらず、霧が昼頃まで晴れないことも多くなり、更に日照時間が短くなります。
11月は大西洋から張り出して来る北極地方の冷たい湿った低気圧が夏の間優位に有ったユーラシア大陸から来る乾いた暖かい高気圧がぶつかりあい、大変荒れる時期でもあります。それだけ天気も不安定な時期と言えます。
気象上の統計から「11月12日~16日に寒い日が続くとグリーンクリスマスになる」、又「11月21日~25日の5日間が暖かいと、それに続く2週間は寒波に見舞われる」そうです。11月の気象状況で今年の冬のおおよその寒さが予測出来るようです。証拠にはなりませんが、昔から寒い11月は暖かい1月を意味することわざが多いようです。
平均気温: 4.3 ℃
降水量: 47 mm
湿度: 85 %
日照時間: 52 時間/月
昼間の長さ: 9時間3分/日

12月の天気

12月になると景色は完全に冬へと模様替えです。一年のうちで最も霧の発生率が高く、降水率も当然高くなります。太陽が地平線から15度位までしか昇らず、昼の長さは8時間を切り、日照時間は一ヶ月で35から40時間迄減ります。気温が氷点下になる日も多くなり、シベリア寒波の影響を受ける南ドイツでは一ヶ月のうちで25日は最低気温がマイナスになります。アゾレス暖気団の影響を受ける温暖な西側では10日程です。
12月上旬は大西洋から入ってくる湿った暖かいアゾレス暖気団とグリーンランドから押し寄せてくる暖められた北極寒気団の影響で大変な寒さに見舞われることはありません。中旬から下旬になるとシベリアからの寒波が勢力を増してきて本格的に寒くなります。その後のクリスマス頃になると大西洋からの暖かい空気と入れ替わり、年始にかけて又シベリア寒波に取って代わるという押し合い圧し合いを繰り返します。この頃には降雪限界が標高700m位まで下がってきます。20世紀に入ってからクリスマスに標高500m以下で雪が降ったのはちょうど半分。統計的に見てもドイツの平地でホワイトクリスマスを祝えるところは殆ど無いと言って良いかもしれません。ドイツの諺に「グリーンクリスマスの後のイースターは雪になる」というのが有りますが、これは気象学上全く証明されていません。又「12月上旬が暖かいと、1月2月も暖かくなる」と言う諺は統計的にその確立は大変高く、約82%程だそうです。
平均気温: 1.5 ℃
降水量: 52 mm
湿度: 86 %
日照時間: 38 時間/月
昼間の長さ: 8時間6分/日