Meteor Recognizer Version 3.6
Sirko Molau

自動流星検出用 ソフトウェア
シルコ・モーラウ 著



ソフトウェア 更新: 2002年6月27日
日本語解説書 更新: 2002年7月30日

目次

はじめに

  1. ハードウエア性能について
  2. MetRec起動
  3. 周辺機器とのチューニング
    1. モニター映像
      1. ダークフレーム減算補正処理
      2. マスクの作成
      3. フラットフィールド割算補正処理
    2. ROI(アール・オー・アイ)
      1. ROI抽出
      2. ROIクラスター
    3. 流星検出感度調整
      1. 感度ムラ補正
      2. 流星検出しきい値
    4. フレームコンポジットについて
  4. オプション設定
    1. タイムベース
      1. 録画開始時刻の設定
      2. 観測地の時間帯設定
      3. 終了時刻設定
    2. デートベース
    3. 流星検出の中断
    4. ビーブ音
    5. 輝度レベル、コントラスト
    6. x-y座標の回転
    7. 検出フレームの保存方法
      1. プログラム終了後のフレームの保存
      2. 検出前後のフレームの保存
      3. ディレクトリ
      4. IAPファイル
    8. 解析ファイルの作成
      1. 外部解析ソフト用データ作成
      2. データ処理用ファイル作成
      3. 付属プログラム
  5. 流星の探知
    1. 照合イメージの撮像
    2. 赤道座標、対地速度、継続時間の算出
    3. 流星群解析
  6. スクリーンショット
  7. ファイル名に関する規定と使用方法
  8. 著作権と責任の否認/使用登録
  9. 索引

更新記録
リンク


はじめに

MetRecは自動流星検出用ソフトウエアです。

オンラインで撮影した映像から直接、又は既に収録してあるビデオテープから流星を抽出し、解析します。

MetRecはモノクロ画像(NTSC: 320x240ピクセル 8ビット、PAL: 384x288ピクセル 8ビット)のハーフレゾリューション、フルフレーム(NTSC: 30pfs、 PAL: 25fps)を読み取り、流星の出現時刻、出現数、流星の記録されたフレーム数、光度、対地速度、赤道座標、群流星の検出まで解析します。オプションで合成イメージの表示も可能です。

MetRecはコンフィグレーションファイル内の様々なパラメータを設定する事によって、使用環境にフレックスに対応出来ます。ログファイルへの書き込み、プリンタへの出力も可能です。勿論、流星検出中もビデオ信号の取り込みだけでなく、システム稼動状況もモニターに表示します。

I. ハードウエア性能について

MetRecを起動する為に最低必要なハードウエアは下記の通りです。

フレームグラッバーカードMatrox社製 “Meteor II/4”。
パソコン200MHz以上。可能であれば450MHz。
これ以下の性能のCPUでは検出能力が落ちます。Pentium又はAMD、Cyrixに該当するようなCPUを搭載しているパソコンをご使用下さい。
メインメモリー16MB以上。
ビデオカード1MB以上。
高速PCI又はAGPグラフィックカードより性能の低いビデオカードでもMetRecは走りますが、抽出フレーム数を減らす必要があります。検出性能も下がります。高速PCIビデオカード(Matrox社製、Millenium)をご使用になる事をお勧め致します。
ハードディスク最低25MB空きスペースを確保して下さい。
流星の記録されたフレームを保存したい場合は、1フレームが150kByteあります。メモリー容量に十分余裕を持たせて下さい。

スタート前の注意:

MetRecは標準DOS上で動作する様に組まれたソフトです。ウィンドーズにも対応していますが、ウインド-ズを立ち上げた状態でDOSボックスからMetRecを起動することはお勧めいたしません。又、MetRecはWinNT、2000、ME及び他のオペレーションシステムには対応していません。
MetRecを起動させるとシステムはただちにプロテクトモードに切り替わり、拡張メモリを確保します。但し、MetRecは386MAX又はEMM386の様なDPMIサーバーとは互換性がありませんので、起動させる前に必ずコンフィグレーションファイルConfig.sysから削除して下さい。
(DOSを立ち上げた状態で日本語モードになっている場合はUSモードに必ず切り替えて下さい。Win95の場合はウインドゥズのMS-DOSプロンプトのプロパティで言語を日本語から英語に変更します。Win98の場合はDOS上で”US”と入力しエンターを押します。プログラムを終了した時点で”JP”と入力し、日本語モードに戻します。訳者)

II. MetRec起動

これからMetRecのプログラム及びツールについて説明致します。実際にソフトウェアが動作しているところをご覧になった事が無い方には、何かと文章だけでの説明では理解し難い部分も有るかと思います。このソフトウェアの印象を得ていただく為に、著者のホームページにスクリーンショットを設けました。説明はVI章をご参考下さい。

Matrox社製フレームグラッバーカードを装着し、PCを立ち上げます。PCがボードを新規ハードウエアとして認識したら、IMOホームページのFTPサーバー上ftp://ftp.imo.net/pub/software/metrec/MetRec専用のドライバーファイル”driver.zip”を指定し、インストールを開始します。エラーメッセージが表示されなければインストール完了です。MetRecインストールファイル”install.exe”を上記のIMOホームページからダウンロードし、解凍してから起動させ、MetRecをインストールします。ボードが正常に動作するかと確認したい場合は、ビデオ信号(テレビ番組可)を取り込みながらプログラムgrabを起動させます。MetRecの画面内で取り入れたビデオの内容が映しだされるを確認して下さい。

インターネットが使用出来ない場合は最初に”install.exe”と”driver.zip”をハードディスク等にダウンロードしてから、インストールを開始しても全く問題ありません。但し、”driver.zip”は圧縮状態で起動させます。

MetRecを起動させる前にコンフィグレーションファイル内のパラメータを設定します。

MetRecのデフォルト(スタンダード)コンフィグレーションファイル“metrec.cfg”のコピーし、個人用のファイルを作成します。下記のパラメータを使い易いテキストエディターで設定します。

FrameGrabberType使用フレームグラッバーカードを設定
1
2
Meteor I
Meteor II/4
VideoSignalType使用ビデオシステムの設定
NTSC
PAL
NTSC
PAL
UseInputMaskビデオ画像から流星検出領域を指定する。又、写野から流星検出を妨げるイメージを除去する。
例:イメージ内にスーパーインポーズされた時刻、地平線近くの木の陰に消え隠れする星など。
作成方法:(III.A.2参照)
yes使用。(コンフィグレーションInputMaskに使用するマスク名を入力)
TimeZone観測地の時間帯域の入力。
他国とのデータ情報交換の為にはUTを使用することを勧める。(IV.A.2参照)
0
+9
UT(世界時)、スタンダード設定
JST(日本時間)
FrameSize画面y軸方向の写野を°(角度)で入力。
n 例:
  • 写野がモニター画面より小さい場合:
    写野の部分の直径を角度で入力
  • 写野がモニター画面からはみ出す:
    モニターのy軸方向の幅を角度で入力
FrameBufferCountデジタル化されたフレームを最高何個迄のインターナルリングバッファーに保存するかを設定
<=50メモリ容量 16MB以上の場合: 50
AutoConfiguration全てのパラメータを初期化する(コンフィグレーションファイルで設定したパラメータを初期設定に書き換える)
off
on
metrec.cfgで設定したパラメータを使用
デフォルトで設定されたパラメータ値を使用する。metrec.cfgで設定された値は無視される。(下記のパラメータはコンフィグレーションファイルから削除してもMetRecの作動上何も問題無い。)
TimeZone = 0
FrameStackCount = 1
SaveSingleFrame = no
SaveMeteorBand = yes
SaveSumImage = yes
SaveMeteorData = yes
StopDetectionOnSave = no
AutoSubDirectory = yes
FileNameRule = 2
EquatorialCoordinates = yes
CreatePosDatEntry = yes
PosDatHeaderFile = mmddhead.bdf
PosDatDataFile = mmdddata.dbf

コンフィグレーションファイル内のパラメータの設定が終了したらMetRecを起動させます。

下記の様にコマンドを入力して下さい。

(スクリーンショット:metrec01.gifmetrec02.gifmetrec03.gifmetrec04.gifmetrec05.gif 参照)

metrec <configfile> <logfile> [LPT]
configfile名前を入力。 例:20000820
logfile名前を入力。 例:20000820
LPTプリンターへ出力する場合に入力

注釈: <> 必須、{ } 選択、[ ] 省略可。

MetRecが起動し、撮影した映像から補正処理済みフラットフィールドを算出します。数秒後には流星検出準備が完了します。プログラムが走らない場合、ログファイル内でエラーが発生した事がモニターに表示されます。

検出性能を最大限に上げる為に、1秒間に取り込むフレーム数を最高に設定します(NTSCでは30fps、PALでは25fps)。使用するパソコンの性能が低く、早く走らせる事が不可能な場合、下記のパラメータでイメージの諧調を調整し、パソコンへの負担を少なくし、走らせます。 下記の順序で設定し、入力して下さい。

DisplayRefreshRate パソコンの性能が低く、早く走らせることが出来ない時に、取り込みフレームをコンポジットする
5スタンダード設定
InternalResolution既に半分の解像度を更に半分にスケールダウンする。光度の小さい流星は探知されなくなり、データ処理量が半減する反面、プログラムは2倍のスピードで走り,結果的には効果的と言える。
full



half
通常:
NTSC: 320x240ピクセル、
PAL: 384x288ピクセル

更にスケールダウン
NTSC: 160x120ピクセル、
PAL: 192x144ピクセル
FrameStackCount時間節約の為にフレームをコンポジットし、デジタル現像する。(III.Dを参照)
DisplayRefreshRate、InternalResolutionのパラメータ変更で効果が現れなかった場合にFrameStackCountのパラメータを最後に変更する。
1スタンダード設定
DisplayRefreshRate "5" * FrameStackCount "2" = デジタル化フレーム数 "10"

III. 周辺機器とのチューニング

特殊カメラを使用した場合、コンフィグレーションファイル内のパラメータを変更し、MetRecの最大検出能力を上げてやります。このパラメータ設定への理解を深めるには、流星検出に関するアルゴリスムに通じておくべきでしょう。

A. モニター映像

現在撮影中の映像がモニターに映し出されます。(モノクロ 8ビット、256階調。ハーフレゾリューション:NTSC: 320x240ピクセル、PAL: 384x288ピクセル。)カラー諧調はカットされます。InternalResolutionを半分に設定したい場合,イメージサイズはデジタル現像時に両軸方向に縮小され、ファクタ“2”となります。

1. ダークフレーム減算補正処理

流星探知の第一歩はライトフレームから平均加算したダークフレームを減算処理し、ノイズを補正するところから始まります。ライトフレームは撮影されたフレームから算出されます。引き算の際にマイナスの値が発生した個所の輝度を“0”に置き換えます。

ダークフレーム減算補正処理をした映像はモニター画面右上に表示されます。

2. マスクの作成

モニター表示された映像から流星検出の妨害になるイメージを除去します。

例えば、写野内にスーパーインポーズされた時刻、地平線付近の木の陰にある点滅する星等は誤検出の原因になります。マスクはイメージ画像のどの位置にでも置けます。この場合無圧縮モノクロBMPファイル(NTSC: 320x240ピクセル、PAL: 384x288ピクセル、1ビット画像にスケールダウン)を使用して下さい。画像全てのピクセルのレベル値は“1”と設定して下さい。これは、“0”設定にした場合ダークフレーム補正した画像のレベル値を上げた時にカットされてしまうからです。つまり、ピクセル毎にInputMaskで指定されたマスクのレベル値と撮影された映像のレベル値を、理論的に“AND”機能を使い結合させます。

マスク用BMPファイルの作成します。下記の通り入力して下さい。

(スクリーンショット: grab01.gif及び grab02.gif 参照)

grab {-1 | -2} {-pal | -ntsc} [-full] [-br b] [-con c] [-int i] <filename.bmp>
-1Meteor I
-2Meteor II/4
-palPAL
-ntscNTSC
-fullフルレゾリューション (ここでは使用しない)
-br b輝度: 0〜255
-con cコントラスト: 0〜255
-int i読み込むフレーム数: 1, 2, 4, 8, 16, 32
filename.bmpマスクに名前を与える。(著者はレンズの仕様等を略語にして用いている。)
8ビット BMPファイル 、又はペイントブラシの様な画像処理ソフトのフォーマットも使用可能。

コマンド 入力例: grab -2 -ntsc -br 128 -con 128 -int 8 test.bmp

注釈: <> 必須、{ } 選択、[ ] 省略可。

キーを押して下さい。MetRecは撮像を開始します。ビデオデータのヒストグラムが表示されます。コントラストと輝度を機能キーで調整します。撮像されたフレームは8ビット画像としてBMPファイルとしてハードディスクに保存されます。又ビットマップ以外のフォーマット(例:ペイントブラシ等)も使用可能ですが、画面の中から検出処理に必要な個所のみを選択して、必要無い部分をカットします。輝度とコントラストはファイル内の未使用スペースに保存されます。保存は必ず白黒画像でして下さい。

もし、使用する画像処理用ソフトに諧調を8ビットから1ビットへ変換する機能を持たない場合はMetRecの変換プログラムを作動させて下さい。

convert [-i] [-thresh] <oldfilename.bmp> <newfilename.bmp>
-i画像処理プログラムによっては白黒を反転させなければならない。その場合にこのパラメータを使用する。
-thresh2階調化する境界のしきい値を入力
oldfilename.bmpBMPファイル、8ビット
newfilename.bmp新規BMPファイル、1ビット


例: convert -i -thresh 128 old.bmp new.bmp

注釈: <> 必須、{ } 選択、[ ] 省略可。

ビットマップフォーマットで新規作成した(又は使用する)マスク名をコンフィグレーションファイルInputMaskに入力します(IIを参照)。すると、撮像された映像がダークフレーム処理され、その上に指定されたマスクを掛けられます。

ここでランダムノイズの残った画像がモニターに表示されます。全ての一定光源(星)と不定光源(時刻表示)は除去されています。

3. フラットフィールド割算補正処理

それでも写野内のノイズが均一で無いのは、イメージインテンシファイア(光電子倍増菅)によって増幅した画像には、ダークフレーム処理を行った後でもかなり不均一にノイズが残っているからです。ここで更にフラットフィールド画像による感度ムラの割算処理を行います。(左下のイメージ)処理後の画像は写野全体がほぼ均一に感度を持っているはずです。

ダークフレーム補正処理後の画像と同じく、フラットフィールド補正も次々に取り込んできた映像から算出し、定期的にリフレッシュします。処理後の画像でも根本的にまだピクセルにノイズ分散しています(ノイズが含まれています)。

デジタル現像されたフレームはフラットフィールドの算出に使われます。流星や人工衛星の輝線の残ったピクセルはみカットされます。

MetRecを起動させてから最初の流星を検出する前には,必ずフラットフィールド補正処理を行うか、既に撮像してあるイニシャルフラットフィールドをロードしてきます。この方法を用いる際には、コンフィグレーションファイルUseOldFlatFieldを下記の様に設定します。

UseOldFlatField イニシャルフラットフィールドをロード
yes
no
イニシャルフラットフィールドをロードする
ロードしない

MetRecを終了する際に、最後に使われたフラットフィールドはコンフィグレーションOldFlatFieldで設定したファイル名(.ffd)で保存されます。

又,新規に作成したフラットフィールドはコンフィグレーションNewFlatFieldで設定したファイル名(.ffd)で保存されます。

フラットフィールドを算出する為に、様々なパラメータが設けられています。画像が時々シンチレーション及びジター電圧のゆらぎによって瞬間的に乱れることがあります。明るい星の場合はこの映像の乱れが誤抽出の原因に成りかねません。そこで、コンフィグレーションFlatFieldSmoothにスムーズする隣接ピクセル数を入力します。入力するパラメータの数字が大きければ大きいほど感度を下げる隣接ピクセルの数が増えます。

FlatFieldSmooth スムーズにする隣接ピクセルの数を設定
0 〜 5  

写野全体を対照的に又は非対称的にスムーズ化するか決めます。使用するカメラが追尾されていない場合、又は写野が狭い場合はそれに伴いその部分のノイズも増えるので、日周運動方向へ強くスムーズさせて下さい。コンフィグレーションFlatFieldSmoothDirectionのパラメータにその方向を入力します。

FlatFieldSmoothDirection 映像のスムーズ化
0

1 〜 8

映像左右相対的にスムーズ化する

下図参考
FFSD

B. ROI (アール・オー・アイ)

検出開始前の最後のステップは、ROI(region of interest)の抽出です。

1. ROI 抽出

フラットフィールド割算補正された画像から最も輝度の高い(前フレームと比較して最も輝度の変化した)ピクセルを1フレームあたり約10個、ROIとして抽出します。

このROI検出中の画像はMetRecが流星検出中であれば“R”キーを押すことによってモニター右上に表示されます。“I”キーを押すとフラットフィールド補正画像に戻ります。

(スクリーンショット: metrec05.gif 参照)

“R”キーROI検出中画像
“I”キーフラットフィールド補正画像

パソコンはROIが静止型か動型か判断します。ROIを抽出したフレームの隣接ピクセル又は前フレームの同じ場所にROIが抽出されていた場合は静止型、同じ場所に抽出されていなかった場合は動型と判断します。隣接ピクセルが静止型又は動型ROIに属するかという判断は、その“物体”が写野(FrameSizeで入力)の中を1.5°/s以上の速度で動くという条件を満たすかで行います。

静止型ROIは恐らく停止流星かもしれません。微光度であれば人工衛星でしょう。この様な誤探知を避ける為に静止型ROIを除去します。静止型ROIは流星探知且つフラットフィールド補正処理のリフレッシュにも使われません。点の様なノイズに比べて、流星は大抵“細長い物体”です。コンピュータは抽出したROIの中央のピクセルから8連結方向(垂直、水平、対角方向)からしきい値を超える一直線上に並んだ隣接ピクセルの有無を確認し、その総数を求めます。その最大ピクセル数によって動型ROIのみ抽出します。つまり、ある一定の総合ピクセル数を超えた場合に“イベント”を検出した、と認識するわけです。しきい値以下のものは全てカットされます。隣接ピクセル総数の条件はコンフィグレーションファイルMeteorElongationで設定します。

MeteorElongation 隣接ピクセル総数(=しきい値)
0
1
2
停止流星をも抽出する(ノイズを含める)
3 ピクセル 写野が大きく、微流星を抽出する
5 ピクセル 写野が小さく、尾の長い流星のみを抽出する

パラメータを“0”に設定した場合、演算に要するピクセルが少なくなります。この場合はノイズレベルの“もの”も検出されてしまいます。

2. ROIクラスター

次のステップはROIクラスターです。

しきい値を超えた隣接動型ROI同士を包含し、ROIクラスターとします。これは1流星のROIが1フレーム上で2回カウントされるのを防ぐためです。この時点で約10個程あったROIは、既に8〜9個程のROIクラスターとなっているはずです。この検出されたROIクラスターが“イベント(流星)”として認識されます。この認識されたイベント中から更に最大検出許容数をもうけ、変化の大きい動型ROIを絞り込んでいきます。コンフィグレーションFlashThresholdにこの最大検出許容数を入力します。

FlashThreshold 1フレーム上のROIクラスター検出最高許容数を入力
n
全てのイベントを流星と検出する。HRの多い流星群の場合の設定値。

イベントと確認された8〜9個程のROIクラスターの内、FlashThresholdで設定された個数のみ流星として認識させ、小さい場合は偶然記録された人工輝線と認識させます。

一度に多数のイベントが検出されるという現象は、カメラが動いてしまったり、ビデオデッキのドロップアウト、写野内を雲が通過したりして映像に突然星が現れたりした場合にも起こります。MetRecはこの人工輝線の出現時刻を記憶し,FlashRecoveryFrameCountで設定した時間だけ待ち、その後に流星検出を継続します。

FlashRecoveryFrameCount 中断された流星を検出する為に、見失った時点からのどの位の時間待ったら良いかを入力
nフレーム数で入力
SaveFlashImage フラッシュの原因となったフレームを個別に保存
no
yes
スタンダード設定
フラッシュを“flashxxx.bmp”(xxx=数)に保存。必要が無ければ、後のマニュアルで削除できる。

MetRecは1流星が前フレームでROIクラスターとして抽出された場合のみ“流星”として検出します。前フレームで確認されなかった場合は新規流星として検出します。

又,1フレームにROIクラスターが確認され、その後のフレームに確認されなかった場合は、MetRecは2フレームだけ待ち、再度確認されなかった場合のみ流星は去ったと判断し、パラメータと共に保存します。

最後にMinimumFrameCountを設定します。

MinimumFrameCount 流星検出に必要と思われるフレーム数を入力
1
3
ノイズレベルのイベントも検出(StopDetectionOnSave = yes)
推奨設定値(1〜5 設定可能)

最低何フレームに流星が記録されたら“1流星”と認識するかをここで設定します。パラメータを“1以上”に設定すれば誤確認が少なくてすみます。明るいスポットノイズは大抵1フレームのみに現れます。言い返せば、最短命の微流星はカットされるわけです。このパラメータはデフォルトで3に設定してあります。又,流星の映像を保存したい場合はStopDetectionOnSave(IV.G.1参照)をyesと設定して下さい。

C. 流星検出感度調整

フレーム上、何のイベントも起こらない間、動型ROIの発生位置の集計した映像が右下に表示されます。

1. 感度ムラ補正

全て正常に作動していれば、その検出された動型ROIは写野全体に均等に散乱しているはずです。もし、一定の場所にピクセルが集中している時は(例:日周運動の恒星輝線)、下記のコンフィグレーションファイル内のパラメータでフラットフィールドの感度を調整して下さい。

FlatFieldExponent フラットフィールド画像の平均輝度値をn乗して、平方根をとる
2.0
< 2.0
スタンダード設定
調整する場合
FlatFieldOffsetFlatFieldExponentで算出された輝度値をあげる為に設定値を加算する
0
> 0
スタンダード設定
調整する場合

この様にパラメータを変更することによってフラットフィールドの感度を改善します。ランダムノイズは二乗されませんが,平均平方根が計算される前にFlatFieldExponentの影響が大きくなります。FlatFieldOffsetは設定された輝度値を挿入します。

次にフラットフィールドの最低輝度値を設定します。FlatFieldExponent及びとFlatFieldOffsetで算出した輝度値がここで設定する数値より低い場合は、設定値まで引き上げられます。

FlatFieldFlooring フラットフィールドの最低輝度値を設定する
n

MetRecを終了する際に、この最後に設定したフラットフィールドの感度ムラ調整は自動的にコンフィグレーション内のパラメータSensitivityImageで設定したファイル名(.bmp)で保存されます。

2. 流星検出しきい値

ROI抽出のしきい値が流星探知を左右している事は既にお分かりになったと思います。しきい値が小さければ小さいほど多くのイベントやそれに続く流星を抽出します。その反面誤検出も多くなります。このしきい値が高ければ誤探知の確立は下がりますが,微流星の検出感度も落ちます。

MetRecの流星検出の最大能力を引き出す為にはパソコンの作動中にしきい値を定期的にリフレッシュします。算出方法はRecognitionThreshold内のパラメータで設定出来ます。MetRecは最高ノイズ輝度を幾つかのフレームから加算し、RecognitionThresholdの倍数でかけてその中間値を新規しきい値と計算します。

RecognitionThreshold 流星検出の際のしきい値
n

簡単に説明致します。

下記の様な状況を思い浮かべて下さい。
フラットフィールド割り算補正処理した画像中の平均ノイズが“0.5”とします。一定周期で確認された最高ノイズ輝度を“0.8”(静止型ROIと流星を含む)、RecognitionThresholdを“2.0”と設定した場合、新規しきい値は“1.6”と計算されます。つまり,観測された最高ノイズ輝度の2倍の輝度を持つものを“イベント”として検出します。

RecognitionThreshold2.0
average noise0.5
highest noise value0.8
new detection threshold1.6 = 0.8 x 2

RecognitionThresholdに入力するパラメータを入れ替えて使用機器に合った数を探して下さい。このパラメータが小さくなればなるほどMetRecの感度が高くなります。もし、MinimumFrameCountが“2”〜“3”に設けてあれば、RecognitionThresholdのパラメータを“1”以下にも設定出来ます。この様に設定すると、しきい値以上のノイズピクセルが抽出されるわけですが、これらは偶然フレーム上に出現したノイズであって、流星とは検出されません。

しきい値は「C:流星検出中断」で述べた方法でプログラムを一時止めた状態で、機能キーでも変更出来ます。

機能キー:

“Shift +”キーで数値を小さくする

T、Shift + T :しきい値を変更

コンフィグレーションStartThresholdにある数字(経験から得た数値)を入力しておきます。何かの理由でこのしきい値がどんどん小さくなる,又は大きくなる。その様なケースでは、コンフィグレーションConstantThresholdをyesと設定します。このパラメータは多数の流星(ROI)が検出される流星群観測の際に、しきい値が上がり過ぎない様にするのにも効果があります。

StartThreshold MetRecをスタートさせる前に必ず入力する
n小さい数値から始める。(使用者の経験から得た数値)
ConstantThresholdStartThresholdを固定しきい値とする
yesしきい値が一定しない場合

MetRecの作動中でもモニターの右下隅にしきい値の変化を示したグラフが表示されます。このグラフには現行フレームのしきい値と最大ノイズ輝度値、最大ノイズ輝度値の変化累積も表示されます。MetRecを終了する際にこの検出しきい値の変化はファイルコンフィグレーションThresholdHistoryで設定したファイル名(.thr)で保存されます。

D. フレームコンポジットについて

もう一度フレームレートについて考えましょう。既に記述した様にMetRecは一つのフレームを取り込み、流星を探します。そして,次のフレームを取り込み再び流星を探します。これを繰り返します。短命の微流星をたびたび逃す様であれば取り込むフレーム数を増やしてやります。V章でも記述した様に取り込みフレームレート数はコンフィグレーションDisplayRefreshRate、InternalResolutionで調整することが出来ます。又、何かの理由でMetRecの処理速度が落ちた場合はDelayTimeで調整します。

DelayTime ビデオテープの転送速度を落とすために各フレームの後に間を置く
0 〜1/1000秒(ms)単位

MetRecの性能はコンフィグレーションFrameStackCountでも調整出来ます。(U参照)

FrameStackCountでMetRecが“n”個のフレームを取り込む様に設定します。それらのフレームは加算され平均化されます。(ライトフレームからダークフレームが減算処理され、その後フラットフィールド割算処理する。)最終的効果として一秒間に取り込み、デジタル化するフレーム数が増えます。流星検出には一つ一つのフレームのデジタル化するのでは無く、幾つかのフレームごとにデジタル化を行うので、そのデジタル化されないフレームに記録された流星は検出されません。別の言い方をしますと、デジタル化されるフレームのギャップが小さければ小さいほど微流星を逃す可能性が小さくなるという事です。

FrameStackのパラメータを上げてやる事によってその逆効果も出て来ます。流星の速度と方向が正確に計算出来なくなるという事です。これは各フレームに記録される流星の位置がはっきりしないためです。もう一つ、流星群に属する流星の検出率が下がります。これは流星対地速度、赤道座標系及び方向を算出する為に、最低2フレーム必要とするからです。流星群に含まれるか否かもそうです。

UMetRec起動でも記述しましたが、FrameStackCountはプログラムのスピードをあげる最後の手段として変更してください。

IV. オプション設定

MetRecはコンフィグレーションファイル内のパラメータを変更することによって、流星検出プロセッシングをサポートします。

A. タイムベース、B. デートベースについての注意(訳者):

MetRec

は現在のところ、ドイツIOTA/ESのCuno博士の開発したタイムインサータ(ビデオ映像に時刻をスーパーインポーズする装置。PALのみ。)のみをサポートしています。このタイムインサータ−が接続されていない場合の標準設定は“1”又は“3”です。従って、時刻は流星検出映像にはスーパーインポーズされません。他の製品を使用する場合は著者にコンタクトして下さい。

A. タイムベース

タイムベース(時間設定)は下記の様に設定します。

1. 録画開始時刻の設定

TimeBase 時刻の導入方法を設定
1

2

3

パソコンからのシステム時刻
(スタンダード設定)
ビデオレコーダから時刻を導入
(プログラムClockPosで時刻をスーパーインポーズする。)
ビデオテープに収録された観測結果を後日解析する。
VideoTapeStartTimeで録画開始時刻を入力。

MetRecは録画開始時刻から経過時間を“ビデオテープ時刻”として認識します。

プレイバックの際にテープの転送速度が録画開始時より速まったり遅れたりして、ビデオデッキの時刻と相違している事が数時間後に気が付いたとします。流星検出開始時刻が正確であれば、時計が数十秒間止まってしまった場合、テープの終わりにあたってしまった場合には、数分誤差が出てくるでしょう。その誤差を埋める為に、一時間に何秒遅れたかを計算してコンフィグレーションVideoTapeTimeCorrectionに入力します。

VideoTapeTimeCorrection 1時間に何秒遅れたかを入力
n秒数を入力
例:1時間に5秒遅れた場合は“-5”

以下の斜字部分は、Cuno博士のタイムインサータを使用した場合に限ります。(訳者)

更に正確な時刻はビデオ映像に録画開始時刻を直接スーパーインポーズ方法ことによって得ることが出来ます。一つ一つのフレームの転送時間が正確に一瞬にして確認出来るだけでなく、流星の対地速度と継続時間もより正確に算出されます。 MetRec

にビデオ時計を認識させるにはビデオイメージ内に一桁づつそのポジションを指定する必要があります。その場所を定める為にプログラムClockPosをスタートさせます。 (スクリーンショット: clock01.gif 参照)

clockpos {-1 | -2} {-pal | -ntsc} [filename.cfg]
-1Meteor I
-2Meteor II/4
-palPAL
-ntscNTSC
filename.cfgコンフィグレーションファイル名を入力

注釈: <> 必須、{ } 選択、[ ] 省略可。

カーソルを一桁目(西暦2桁)に持っていきます。そしてキーを押します。認識した数字が表示されます。更に次の桁(西暦1桁)へカーソルを移し,同じ作業を14桁迄(年、月、日、時、分、秒、フレームカウンタ)繰り返します。

プログラムClockPosを終了するとコンフィグレーションVideoClockXPositionとVideoClockYPositionにx-y座標が表示されます。ClockPosでx-y座標を設定しなかった場合のみ直接数字を入力します。

VideoClockXPosition x座標を数字で入力
VideoClockYPosition y座標を数字で入力

この設定はファイルに名前を付けて保存する事も出来ます。この場合は新たに値を入力する事によって古い値は次々と書き換えられます。

最後になりましたが,ビデオ時刻はスタート時刻と同期させていません。この誤差を修正するにはコンフィグレーションVideoClockOffsetに入力します。

VideoClockOffset ビデオ時刻と同期させる為にスタート時刻を入力
h m s時、分、秒

2. 観測地の時間帯設定

時間設定とは別に観測地の時間帯設定も出来ます。スタンダード設定が世界時になっています。観測地で使用しているシステム時刻(又はタイムインサータ)が世界時と異なるときにその差を入力します。

TimeZoneCorrection   
0
-9
UT (世界時間) スタンダード設定
JST(日本標準時)

コンフィグレーションTimeZoneとTimeZoneCorrectionの設定の仕方:

JST
設定の場合
UT
設定の場合
TimeZone+90
TimeZoneCorrection0-9

3. 終了時間設定

流星観測を終了又は再開する時間も入力出来ます。

RecognitionEndTime 観測終了時刻を入力する(旧:MaxRecognitionTime)
h m s時、分、秒
AutoRestart 観測を終了したその翌日自動的に観測を再開する
yes
no
自動的に観測開始
自動開始しない(デフォルト)
RecognitionRestartTime 自動的に観測を再開する時間を設定
00 00 00 時刻を入力 例 20 0 0。(AutoRestartの設定がyes) 
AutoRenameLogfile 自動的に観測を再開する際に自動的にログファイルの名称を変更する
yes
no
変更する(デフォルト)(AutoRestart及びEquatorialCoordinateの設定がyes) 
変更しない

パラメータMaximumSolarAltitude及びMinimumLunarDistanceで、太陽及び月がどの位まで写野の中心に接近してきた時に自動的に観測を中断するかも設定出来ます。月が写野の中にある場合は上記のAutoRestartがyesに設定されていても観測は再開始されません。

MaximumSolarAltitude Daemmerungが始まる時間(太陽の位置)に自動的に観測を中断する
-18...0太陽の地平線迄の位置(角度)を入力(EquatorialCoordinateの設定がyes)
MinimumLunarDistance 月が写野に接近してきた際に自動的に観測を中断する
0...90月と写野の中心までの角度を入力(EquatorialCoordinateの設定がyes)

B. デートベース

デートベース(日付設定)はタイムベースと同様に設定します。

DateBase 日付の導入方法を指定
1
2
3
パソコンからのシステム日付 (スタンダード設定)
ビデオレコーダから日付を導入 (日付をスーパーインポーズする)
古い観測結果を再生する場合など (VideoTapeStartDateで日付を入力)

内蔵された時計は一秒間に何回もアクセスされますが、数時間後に数秒間中断された場合(時間設定が“1”または“3”)は大変重大な問題になります。著者が、なぜパソコン内蔵時計とビデオ時計を同期させる為に時刻シグナルレシーバ“DCF-77”(電波でドイツ標準時を受信する装置。)を外付けしたかという主な理由はここにあります。この型のシグナルレシーバはドイツで入手可能です。COMポートがあればシグナルレシーバを繋げ、下記コンフィグレーションでどのポートにつなげたかを指定します。(訳者:日本でもこのようなシグナルレシーバは入手可能と思います。)

ClockSync パソコン内蔵時計とビデオ時計を同期させる
yesシグナルレシーバを外付けする
ClockSyncPort シグナルレシーバをつなげたポートを指定
1
2
COM1
COM2

内蔵時計との同期インターバルの指定できます。

ClockSyncRate システム時計とビデオ時計を何回アクセスさせるかをフレーム数で入力
nフレーム数
例: ClockSyncRate 6000 * フレーム転送速度 30frs = アクセス回数 3.33秒毎

MetRecはディレクトリやPosDatファイルの名称を日付から取ります。観測時間を世界時を基準に行った場合、オーストラリアや日本に住むユーザーは昼間に観測することになります。又ヨーロッパのユーザーはカレンダー上2日間にまたがって観測することになります。現在、MetRecで収集された各国のデータは著者の手により処理されています.これらのデータに一定の基準を与える為にコンフィグレーションパラメータ“DateCorrection”を設定します。
この機能は、MetRecの観測を世界時12時から24時の間に開始した場合はその日の日付を、0時から12時の場合はダイレクトリ及びPosDatファイルの命名を一日遅らせます。
この設定を解除するにはコンフィルレーションファイルDateCorrectionを“no”と設定します。したがって、カレンダー上、2日間にまたがって観測をしない(昼間観測をする)日本のユーザーの設定は、常に“no”です。

DateCorrection 保存ファイルやディレクトリの名称を日付から取る
yes
no
観測開始が0時〜12時の場合一日日付を遅らせる
世界時の日付を取る

C. 流星検出の中断

流星検出を一時的にストップすることも出来ます。

CTRL + Uプログラムはストップします。
CTRL + R検出を再開します。

これらのショートカットキーはスクリーンセーバーに表示されます。(機能を持たないキーを叩いた時に画面が変わる。)

D. ビーブ音

MetRecが流星又は人工輝線を検出した時、又は信号が途絶えてしまった時にビーブ音を発する様にも設定出来ます。

Beep yes

E. 輝度レベル、コントラスト

使用になっているビデオ信号のコントラストや輝度レベルが低い場合、機能キーでパラメータで調整することが出来ます。(パラメータ VideoBrightness 及び VideoContrast は必要ありません。)この機能は上記「C. 流星検出の中断」で記述した方法でプログラムを一時止めてから実行してください。

機能キー:

“Shift +”キーで数字を小さくする

B、Shift + B :輝度レベル
C、Shift + C :コントラスト

☆ フラットフィールド補正処理された映像と照合イメージは、流星光度の誤算出をまねかない為にもRefStarsと同輝度、同コントラストである事が望ましい。(X参照)

F. x-y座標の回転

流星が複数のフレームに記録されるとMetRecは0°方向をx軸、90°方向をy軸としてx-y座標を求めます。もし、1フレームに現れた流星はROIの形状をたどってラフに方向を算出します。x-y座標を回転させたい場合はコンフィグレーションファイルで設定します。

PositionAngleOffset x-y座標の回転
0〜90回転角度を入力

G. 検出フレームの保存方法

MetRecは流星を探知するだけでなく,その記録をフレームごとに保存することも出来ます。その為には三つのオプションがあります。

SaveSingleFrames フレーム保存
yesフレームごとに保存
ファイル名:meNNN_FF.bmp
SaveMeteorBand 流星の部分のみを一つ一つのフレームから帯状パターンとして抽出し、保存する
yesファイル名:meNNN.bnd
SaveSumImage 全ての流星の合成イメージを保存
yes 検出中に左下イメージを変える
“M”キー最後の流星イメージを表示
“F”キースタンダード表示
EquatorialCoordinates = yesと設定した場合
“L”キー最後の流星イメージをチコ星図上に表示
“P”キー流星合成イメージをチコ星図上に表示
ファイル名:meNNN.bmp
SaveMeteorData x-y座標をテキストファイルで保存する
yes座標以外にも現在開発中の2点観測用解析処理ソフトに必要な追加情報を自動保存する。
ファイル名:meNNN.inf

MetRec Version 3.3から“M”キー機能の他に“L”キー機能を導入しました。これは検出中に赤道座標を正確に計算しているかを確認する為でも有ります。もし、同一流星の軌道及び座標が“M”キー機能で表示した画像と“L”キー機能で表示した画像で背景の星の位置が異なっていた場合には設定を変えます。

これらのオプションは同時にセット出来ます。例えば、合成イメージと流星帯状パターンの両方を保存するなど、…。

1. プログラム終了後のフレームの保存

流星検出の保存方法には2通りあります。通常、プログラムは取り込まれたフレームをデジタル現像し、ROIを抽出した後流星を検出します。このコンフィグレーションでは、ROIが抽出されたら検出を止め、流星が去るまでは取り入れたフレームをデジタル現像し、最後にこのデジタル処理されたフレームから流星を検出し、容量を節約します。このような理由から、下記のパラメータの設定は“no”とすることをお勧めします。

StopDetectionOnSave 抽出フレームの保存方法
yes

no

流星の記録されたフレームを全て保存したいが、容量が余り無い場合

スタンダード設定。
プログラムは流星を検出し続け、最後に記録済みのフレームを保存。(フレーム転送数によって、幾つかのフレームを見失う事もある)
この状況でも流星の継続時間、対地速度及び方向を求める事は可能。

2. 検出前後のフレームの保存

流星の検出された前後のフレームも保存出来ます。

SavePreFrameCount 流星が抽出されたフレームまでの“n”個のフレームを保存
3スタンダード設定
SavePostFrameCount 流星を抽出されたフレームから“n”個のフレームを保存
StopDetectionOnSave = yesと設定した場合
3スタンダード設定

最大値をどのように設定するかは、パソコンの基本メモリの容量によります。MetRecは1フレームあたり110kByte必要とします。

3. ディレクトリ

映像データの保存用ディレクトリはBaseDirectoryで設定出来ます。変更可能です。

BaseDirectory データ用ダイレクトの設定
 絶対パス: C:\metrec\
検索パス: …\data
自動的にサブダイレクトリも作成したり、ソフトとデータを異なったパーティションで分割したディレクトリに保存することも可能
AutoSubDirectory データ用サブダイレクトの設定
yes…\data\YYMMDD(日付)\…
日付はFileNameRuleで設定
FileNameRule ファイル名の設定
NNN = 流星の番号
FF = フレーム番号
HH = 時
MM = 分
SS = 秒
1




2

例:meNNN_FF.bmp (シングルフレーム)
meNNN.bnd (流星帯状パターン)
meNNN.bmp (合成イメージ)
meNNN.inf (データテキストファイル)

HHMMSSFF.bmp
注:流星が1フレームに抽出された場合は上書きされます。

4. IAPファイル

特殊フォーマットの第2ログファイルも作成出来ます。

但し、このフォーマットはドイツ大気物理研究所(Institut fur Atmospharenphysik。以下IAP。)用の特殊形式ファイルです。MetRec

はこの研究所で流星痕の研究の為に使用されていますが、特別な要請があった為に著者が設けたオプションです。通常使用する場合のパラメータは“no”です。(訳者)

CreateIAPLogfile   
yes
no
IAP専用特別ログファイル作成
スタンダード設定

H. 解析ファイルの作成

1. 外部解析ソフト用データ作成

デジタル映像化された流星を外部ソフトで解析できるように形式を変更します。

そのためにMetRecはプログラムGrabSeqとGrabStrmを用意しています。(このプログラムはMetRecでの流星解析には使用しません。)

フレームシークエンス作成 GrabSeq
(スクリーンショット: grabs01.gif 参照)

短いフレームシークエンスをフレームレートで、しかもハーフ又はフルレゾリューションで作成します。

grabseq {-1 | -2} {-pal | -ntsc} [-color] [-even | -odd | -all | -half] <filename>
-1Meteor I
-2Meteor II/4
-palPAL
-ntscNTSC
-colorRGB image 256カラー諧調
-even偶数
-odd奇数
-allインターレース方式で撮像された全てのフィールドを取り込む
-halfフルフレーム方式で撮像されたフレームを取り込む
filename

フレームシークエンスの名前を付ける
名前:5文字、拡張子無し、フレーム数は自動追加される

注釈: <> 必須、{ } 選択、[ ] 省略可。

grabseqと入力しプログラムをスタートさせます。エンターキーを押すとデジタル現像を開始し、もう一度押してプログラムをストップさせます。又,プログラムはメモリ容量が一杯になれば自動的に止まります。各シングルフレームのみでなく、その合成イメージ作成しハードディスクに保存します。

Marc de Lignie氏の流星解析用ソフトAstroRecordはAVI形式ファイルを必要とします。形式変換用プログラムはVFD(Bob Williamson著)でフレームシークエンスの入ったBMPファイルをAVI形式に変換出来ます。(IMOホームページのMetRecディレクトリに併記してあります。説明書vfd.docを参照して下さい。)

連続フレームコンポジット作成 GrabStrm
GrabSeqがシングルフレームで毎にデータを保存するのに対し、GrabStrmは一定の時間内に読み込まれたフレーム、又は一定の数のフレームをコンポジットし、連続合成イメージを作成します。

grabstrm {-1 | -2} {-pal | -ntsc} [-full] [-br b] [-con c] [-int i] [-meth m] [-fix f] <filename>
-1Meteor I
-2Meteor II/4
-palPAL
-ntscNTSC
-full フルレゾリューション [オプション]
-br輝度: 0〜255 [オプション](スタンダード値:70)
-conコントラスト: 0〜255 [オプション] (スタンダード値:150)
-int読み込むフレーム数: [オプション] (スタンダード値:25)
-meth合成されるフレームの優先輝度レベル基準を設定[オプション]
min:最低輝度を優先
mean:平均輝度を優先
max:最高輝度を優先(スタンダード値)
-fixframes 一定のフレーム数を読み込む
time 一定の時間内のフレームを読み込む[オプション]
filename

合成イメージファイル名の頭文字(3字)を入力
頭文字の後ろには連番が自動的に入力される

注釈: <> 必須、{ } 選択、[ ] 省略可。

インターアクティブで変更出来るシンタックスは入力しなくても結構ですが、変更不可能なシンタックス(例えば-fix及びfilename)は必ずコマンドと共に入力して下さい。

コマンドを入力しプログラムをスタートさせます。パラメータを変更し、エンターキーを押します。再度エンターキーを押すまでプログラムは合成イメージを連続して作成します。

機能キー:

“Shift +”キーで数値を小さくする、またはパラメータを変更する

B、Shift + B :輝度レベル
C、Shift + C : コントラスト
I、Shift + I : 合成するフレーム数(-fixのパラメータはFramesに設定)
M、Shift + M : 合成されるフレームの優先輝度レベル基準
F、Shift + F : Frames:一定のフレーム数を合成
Time:一定の時間内に読み込まれたフレーム数を合成
T、Shift + T : しきい値を変更
+、− : 解像度
Enter : 入力確認

2. データ処理用ファイル作成

MetRecはビデオ観測後のデータ処理用にもう一つのツールPostProcを用意しています。

(スクリーンショット: post01.gif 参照)

ーデータ処理用にファイルを作成します。-

postproc [-archive] [-shower] [-max m] <logfile>
logfile既に作成したログファイル名を入力
-archive作成される全てのファイルは指定されたログファイルと同じディレクトリに保存される
-shower記録された流星がどの流星群の所属するか再確認する
-max 1000異常の流星を認識させる場合に、その最高数を入力(通常1000まで)

注釈: <> 必須、{ } 選択、[ ] 省略可。

機能キー: ↑、↓、←、→ :検出された流星のリストをスクロールする
K :検出された流星を保存
D :検出された流星を除去
L :流星の位置を線で表示
M :流星帯状パターン表示

パラメータにMetRecのログファイルを入力します。又、パラメータ“-archive”を入力すれば作成される全てのファイルはログファイルと同じディレクトリに保存されます。この機能は同じ日付の名前がついたログファイルが異なるディレクトリに存在する場合に便利です。

MetRecはデータを解析し、PosDatファイル(IMOデータ形式)を作成します。探知された流星の詳細をモニターに合成イメージとして表示します。(SaveSumImage = yes)又,シングルフレーム及び流星帯状パターンで保存している場合は(SaveMeteorBand 及びSaveSingleImage = yes)、フレームシークエンスでの表示も可能です。

探知されたイベントの解析をします。MetRecは誤探知されたイベント(<1.5°/s、及び>35°/s移動した物体”、又は探知された“物体”の軌道が他の流星と大幅に異なっている場合)を表示を反転させてマーキングします。プログラムに従って、必要の無いイベントを消します。写野に雲がある場合など、短時間に大量のイベントが誤認識されます。その様な場合には一度に複数のイベントを削除することも出来ます。“X”キーを押すとプログラムは幾つのイベントを削除するか質問します。適当な数を入力して下さい。プログラムを終了した時点で、これらの誤探知されたイベントはログファイルからでは無く、収録されたイメージPosDatファイル、作成されていればIAPファイルからも削除されます。又、流星画像として残したくは無いが、消しがたいイベント(誤探知を含める)がある場合、MISCディレクトリにそのイメージを保存することが出来ます。
保存した各々の流星に3行迄のコメントを記入出来ます。但しMISCディレクトリに保存されたイベント及び流星にはこの機能は使用出来ません。

取りあえず、プログラムPostProcをスタートさせるまではログファイルを修正しないで下さい。データの損欠の原因になります。プログラムはMetRecで作られたファイルのみログファイルとして扱います。

流星帯状パターンのみ表示したい場合はプログラムShowBNDを使います。

(スクリーンショット: show01.gif 参照)

showbnd <filename>
filenameSaveMeteorBandで設定したファイル名

注釈: <> 必須、{ } 選択、[ ] 省略可。

このプログラムは流星帯状パターンのみ表示します。流星を画面上に走らせる映像と、逆に流星を静止させて背景を流す映像を同時に表示します。

3. 付属プログラム

恒星、惑星輝度計測 LightCrv

流星検出とは直接関係有りませんが、映像としてとらえられた星の輝度を求めるプログラム"LightCrv"を用意致しました。掩蔽現象の研究にお役に立てるかもしれません。

lightcrv {-1 | -2} {-pal | -ntsc} [-full] [-ti] [-obj n] [-ref f] [-track t] [-br b] [-con c] <filename>
-1Meteor I
-2Meteor II/4
-palPAL
-ntscNTSC
-full フルレゾリューション [オプション]
-ti Cuno博士の開発したタイムインサータを認識させる(IV. オプション設定 参照)[オプション]
-refパソコンの性能が低く、早く走らせることが出来ない時に、取り込みフレームをコンポジットする[オプション]
-obj計測する星の数を設定[オプション]
-track追尾速度を設定[オプション]
no tracking:追尾無し
low rate:追尾 大
mean rate:追尾 細
high rate:追尾 細微
-br輝度: 0〜255 [オプション]
-conコントラスト: 0〜255 [オプション]
filename

ログファイル名

注釈: <> 必須、{ } 選択、[ ] 省略可。

例:lightcrv -2 -ntsc -obj 3 lightcrv.log

機能キーで変更できないパラメータ(-obj)と共にコマンドを入力し、プログラムをスタートさせます。画面に円が3つ重なって表示されます。下記の機能キーで大中小の円の直径を変更します。小円内部が輝度を求める星のピクセル、中円と大円の間が背景のピクセルとなります。画面の上部のグラフ及び下部のRatio数値は選択された背景と星のピクセルの合計輝度の比較値です。実際の星の等級ではありません。

機能キー:

“Shift +”キーで数値を小さくする、またはパラメータを変更する

B、Shift + B :輝度レベル
C、Shift + C : コントラスト
T、Shift + T : 追尾速度
A、Shift + A : 選択した星へジャンプ
U、Shift + U : 小円の直径変更
V、Shift + V : 中円の直径変更
W、Shift + W : 大円の直径変更
↑、↓、←、→ : 選択円の移動
Enter : 入力確認

複数のオブジェクトを選択した場合、先ず一つの星の選択をエンターキーを押して終えます。その後第二円が次の星へたどり着くまで“↑、↓、←、→”キーで移動させます。この作業を最後の星の選択が終わるまで続けます。

V. 流星の探知

探知された流星の座標は写野内のx-y-方向で求められます。求められたx-y座標は赤道座標へ転換されます。赤緯、赤経が既に確認出来ていればどの流星群に所属するか、否かを判断出来ます。

この転換法には比較星のファイルが必要です。プログラムGrab(V、A、2章参照)で新規映像を取り込みます。この場合、特別なオプションを使う意味があります。GrabSeqの様に取り込みの際の輝度レベルとコントラストを相互作用させながら調整します。

最も適当な設定は,MetRecの起動直後の設定値(VideoBrightnessとVideoContrastの両コンフィグレーションファイルに入力した数値を覚えておきます)を入力します。設定値が異なると、流星光度の算出にミスが生じますので、注意して下さい。(W、E 参照)

次いでですが,幾つかのフレームを照合イメージに平均加算処理することによってノイズを減らすことも出来ます。この処理をすると、微恒星を照合イメージの中で判断し易くなり、又見かけ光度が決定し易くなります。

A. 照合イメージの撮像

先に述べた照合イメージを作成します。 まず、現在の写野をモニター上に表示されたリストから選びます。リストに無い場合はマニュアルでプログラムRefStarsをスタートさせる前にファイルrefstars.oscに観測地、カメラの追尾、日付及び時間等を入力します。これらのデータは自動的にログファイルに保存され、次回の観測時に基本パラメータとして自動的に読み込まれます。IMOに登録されていない観測地はサイトコード“0”として登録されます。
又、MetRecは追尾無しで観測している場合、次回の観測時に照合イメージを自動的に移動させる機能も備えています。例えば前日と当日の観測開始時間が2時間異なったとします。MetRecは前日のデータを読み込み、観測開始時間が2時間遅れていると判断した場合、前日の照合イメージから2時間経過したイメージを表示します。つまり、機能キーを使いチコ星図上で探す必要が無くなるわけです。

(スクリーンショット: refsta01〜07.gif 参照)

照合イメージ、比較星の作成

refstars <filename.bmp> <filename.ref> [mask.bmp]
filename.bmpプログラムGrabで撮像したBMPファイル名
filename.ref照合イメージの名前を与える
mask.bmpマスクを使用した場合はここで再入力

注釈: <> 必須、{ } 選択、[ ] 省略可。

プログラムは入力した照合イメージファイルと同じ名前のコンフィグレーションファイルを同じディレクトリ内に存在する事を認識すると、照合イメージファイルをコンフィグレーションファイルに自動的に書き込んで良いか質問します。この際に書き込みを希望しなかった場合、コンフィグレーションファイルへ忘れずにマニュアルで書き込んでください。

使用するカメラを追尾させるか、否かを決定します。追尾しない場合は日付と時間を照合イメージに入力します。(MetRecと同じ時刻を用いること。)

(スクリーンショット: refsta01.gif 参照)

機能キー:

“Shift +”キーで数字を小さくする

Y、Shift + Y :年 変更
M、Shift + M :月 変更
D、Shift + D :日 変更
H、Shift + H :時間 変更
I、Shift + I :分 変更
S、Shift + S :秒 変更
Enter :入力確認

(スクリーンショット: refsta02.gif  参照)

機能キー:

“Shift +”キーで作業を加速

↑、↓、←、→ :イメージサークルを移動
+、− :イメージサークルの直径を変更
Enter :入力確認

マニュアルで分解しきい値を設定し直し、より多くの,より小さい星迄(ノイズ迄)判別出来るようにします。

(スクリーンショット: refsta03.gif  参照)

機能キー:
“Shift +”キーで作業を加速
+、− :分解しきい値を変更
Enter :入力確認

8等級の星まで含んだチコ星座表の一部が表示されます。認識できる部分のサイズと中心座標を補正し、同様に天球回転角度、恒星等級なども確認します。オプショングリッドが更に細かいチューニングの補助をします。

(スクリーンショット: refsta04.gif及び refsta05.gif 参照)

機能キー:

“Shift +”キーで作業を加速

←、→ :中心点の赤経の変更
↑、↓ :中心点の赤緯の変更
+、− :チコ星図のサイズを変更
B、F :チコ星図の輝度を変更する
R、L :写野を回転させる
G :オプショングリットを表示
Enter :入力確認

チコ星図上で照合イメージを探す場合にオリエンテーションが定まら無い事が有ります。MetRecは重要な星座を即座に読み込める様に、機能キーを用意致しました。

機能キー: Ctrl + O :オリオン座
Ctrl + U :大熊座
Ctrl + X :南十字星

MetRecは自動的に明るい星をさがし、カーソルが次から次へとその明るい星の間を飛びます。デジタル映像とチコ星図上に表示される十字線で指定ポイントを修正しながら次の比較星と移ります。モニター上部のピクセルの4倍に拡大された映像が表示されます。十字線をサブピクセルの正確さ位置付けする助けになるでしょう。

比較星を追加していく際にプログラムRefStarsは何度も乾板定数を修正し、各々の恒星の誤差をleaving-one-outアルゴリスムによる確率で算出します。乾板定数のオーダーを適応する迄変更し、座標グリットを算出します。この座標グリットはMetRecのスタート時に右下のイメージウィンドに表示されます。leaving-one-outアルゴリスムによって実恒星との座標に誤差の生じた比較星は大きなサークルでマーキングされます。小さいものは小さくマーキングされます。より正確な座標系を算出する為に、出来るだけ沢山の比較星を認識させます。Leaving-one-out (L10) 第二オーダーの場合は最低25個、第三オーダーの場合は最低50個認識させます。十分な数の比較星を認識させた後、プログラムを終了させます。

(スクリーンショット: refsta06.gif及び refsta07.gif 参照)

機能キー: ↑、↓、←、→ :比較星の選択
N :次の比較星候補へスキップ
+、− :チコ星図上で十字線を動かし希望の比較星を選択し、Enterキーを押して照合イメージ上で該当恒星を比較星として認識させる。
(x - 位置のみ受け継ぐ)
D :比較星のキャンセル
O :乾板定数のオーダーを変更する
C :赤道座標表示
E、Shift + E :4倍ズーム画像のコントラストを変更
R :コントラストを初期状態へ戻す
G :十字線の除去
ESC :プログラム終了

そこで、第2の照合イメージを作成します。むしろ,これは観測の後の作業になるでしょう。第2照合イメージには最初の照合イメージと同じ名前(但し、拡張子は .end)をつけます。すると、RefStarsは第3のオペレーションモード(第1:ガイド追尾無し、第2:ガイド追尾有り、第3:ガイド追尾の観測後修正)への切り替えが自動的に行われます。一度最初の照合イメージを取り込んだ時と同じ様に第2照合イメージがモニターに表示されます。

先ず時刻と恒星の分解度を決定します。そして、新規写野を選択します。最後に第2照合イメージの比較星の身元確認をします。第2照合イメージの間に生じた時間を恒星のズレから判断します。RefStarsは修正された両角度と追尾速度を算出します。これはMetRecが後でズレの補正に用いるものです。

最初の照合イメージでは数十個の比較星性の身元確認をすることを勧めますが,第2照合イメージでは10個程で十分です。

プログラム“RefStars”を終了する時に、警告メッセージが表示されます。終了したくない場合に、誤ってESCキーを押さないようにご注意下さい。

B. 赤道座標、対地速度、継続時間の算出

比較星ファイルを作成した後、コンフィグレーションファイルのEquatorialCoordinatesをyesと設定し、コンフィグレーションReferenceStarsで設定したファイル名(.ref)で保存します。

EquatorialCoordinates    
yes赤道座標を挿入する

各恒星のO-C(観測値 - 計算値)平均二乗誤差とleaving-one-outアルゴリスムによって算出された誤差がMetRecのログファイルに保存されます。比較星のデータを用い、MetRecは乾板定数を算出し、x-y座標から赤道座標へ転換します。この計算には解析する流星が最低2点の座標を持たなければ出来ません。測定可能な座標が多ければ多いほど(流星の記録されたフレームの数が多い)、より正確な赤道座標と対地速度が算出出来ます。これはシャッターの1切断から流星の軌跡を計算出来るからです。プログラムは各々の座標の平均平方をこの平均軌跡から計算し、ログファイルへ保存します。この数字は2フレームのみ記録された流星のみ“0”になります。

C. 流星群解析

MetRecは群流星の所属可能性も計算出来ます。活動期間と放射点とその直径、対地速度をmetrec.shwファイルから読み込んできます。(このファイルはIMO working listの流星群に関する資料をもとに作成されています。)

MetRecは観測時点でどの流星群が地平線上で活動しているかを確認します。流星が検出されると、MetRecはその流星の後方にある現在活動中の放射点までの最短距離を計算します。勿論、その存在するであろう流星群の予想飛行速度も検出された流星から計算します。

ある流星が流星群リストに含まれる放射点を横切り、速度がリストと一致すれば群流星と判断されます。解析された流星データが流星群のデータと一致しない場合、流星は探知ミスの可能性の有無を確かめる為に傾けたり、位置を変えたりします。実際には流星の後方への延長線が必ず放射点に当たるとは限りません。そこで群流星への所属判断はコンフィグレーションMaximumMeteorTiltとMaximumMeteorShiftのパラメータで流星軌道を補正しながら行います。

このパラメータを使用する際には、metrec.shwファイルの放射点の直径を“0”に設定します。すなわち、放射点を点と見なす訳です。この様に設定する事よってコンピュータは流星軌道が放射点から最大誤差を見込んでその流星群の所属性を解析します。MetRecは天頂引力の影響も計算に入れて、補正輻射点を算出します。

MaximumMeteorTilt
MaximumMeteorShift
流星軌道を補正する
0スタンダード設定

赤道座標と流星群がモニターに表示され、ログファイルに書き込まれます。この時コンフィグレーションファイルMinimumFrameCountが“1”とセットされていると流星カウンターが“UNK"と記録していきます。これは1フレームのみに記録された流星からは流星群所属性及び座標計算が出来ない為です。この様な微流星に興味が無いのであれば、MinimumFrameCountを“2”(III.B.2参照)と設定します。しきい値も1フレームが原因で誤検出が少なくなるように設定します。その上、IMO PosDat entryが各流星ごとに作成されます。

CreatePosDatEntryをyesと設定し、PosDatのヘッダーとファイルの名前を入力します。

CreatePosDatEntry    
yes検出流星のデータをPosDatファイル形式で入力し保存する
PosDatHeaderFile PosDat用ヘッダー作成
.bdfヘッダー名をファイルネームで入力
PosDatDataFile PosDat用データファイル作成
.bdfデータ名をファイルネームで入力

もし、これらのファイルが存在しない場合にはMetRecを起動させるごとに新しいヘッダーを作り、ヘッダーファイルに追加します。作成されたファイルのデータはヘッダーにリンクされています。

このPosDatは観測直後に収録したデータをRainer Arlt氏のRadiant Software (放射点検出ソフトウエア)で解析することを可能としました。このソフトは無名流星群新放射点の研究の為に開発されました。

MetRecは一晩中プログラムを走らし、翌日には完全自動で収集されたデータが見れる、という観測を可能にしました。プログラムPostProcを使用すればデータの後処理は数分もかかりません。又,それが自動流星観測を可能にしたのです。

VI. スクリーンショット

MetRecの機能に関する理解を深めて頂く為に、プログラム作動時のスクリーンをIMOのホームページに掲載致しました。
(アドレス:II参照)

スクリーンショットのサイトへ

又モニター画面は、機能キー“ALT”+“S”でプリンタへの出力が出来ます。この機能はMetRec作動中、どの状態でも使用可能です。

VII. ファイル名に関する規定と使用方法

MetRecは世界中の流星観測者の間でポピュラーになりつつ有ります。その収集された膨大な量のデータは著者のもとに集められます。
確実に大きくなりつつあるネットワーク。AKMでは国境を問わず、どなたの参加も大歓迎です。
そこで著者からお願いが有ります。収集したデータベースを更に凝集させる為に「II. MetRec起動」と「IV. G. 検出フレームの保存方法」で指定されたデータの命名方法を厳守してください。

ビデオカメラを最初にセットした際に、又は写野を変更した場合、必ず比較星の認識から作業を開始してください。撮像したイメージの保存は日付にしたがって、yyyymmdd.bmpファイルと命名して下さい。出来るだけ沢山の比較星性を認識させ、最も誤差が少ない乾板定数のオーダーを適応させた後、全てのデータを照合イメージとしてyyyymmdd.refファイルとして保存します。

もし、使用者が個人用にコンフィグレーションファイルyyyymmdd.cfgを変更した場合、パラメータAutoConfigurationを“yes”と設定します。この際には古いパラメータ“RecognitionEndTime (観測開始時間から何時間撮像するかを入力)”と比較星の保存ファイルのみアップデートして下さい。

AutoConfigurationを“no”と設定した場合は、下記の事項にご注意下さい。

1. 流星の合成イメージ、流星帯状イメージのデータを必ず保存してください。
2. 全ての時刻は世界時に設定して下さい。
3. 収録したPosDatファイルは“mmdddata.dbf”及び“mmddhead.dbf”に保存して下さい。
4. 収録した日付のサブディレクトリ“yyyymmdd”を作成し、ファイルを保存して下さい。
5. MetRecで観測を始める前に、必ずログファイル“yyyymmdd.log”を作成して下さい。
6. 何かの原因でプログラムを再スタートしなければならない場合は、プログラムの起動と共に自動作成されるサブディレクトリ(その当日の日付)及びPosDatファイルを含めた全てのデータを消してください。

観測の後に、プログラムPostProcでデータの処理をしディレクトリに保存します。その際にどんなに誤検出のデータが多くてても、マニュアルでデータを消さないで下さい。PostProc以外の方法でデータを消しても、ログファイル、PosDatファイル又は該当するサブディレクトリ上」のデータは消えません。

最後のステップとして、ログファイル、更新されたPostDatファイル、コンフィグレーションファイル、照合イメージを記録を収集した日付のサブディレクトリにコピーします。このサブディレクトリには既に作成されたこれらのファイルのバックアップが保存されていますので、上書きして下さい。

VIII. 著作権と責任の否認

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IX. 索引

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