2012年4月 今月の星空

春分を過ぎて日が長くなりました。
次第に暖かくなると、花粉が飛び始めます。ドイツでは白樺、松、ヘーゼルナッツの樹木等が大量の花粉を放出します。花粉症の原因にもなっていますが、その花粉独特の花粉光冠が太陽や満月の回りに見られる事も有ります。暈の様に大きな輪を造らず、大変小さな冠ですので、何かで太陽を隠して見て下さい。写真に撮ると、肉眼で見るより分かり易いです。

夜半を過ぎる頃からおとなしい春の星座に入れ替わります。冬の星座を代表するオリオン座は西に傾き、北東にはぎょしゃ座の一等星カペラが輝きます。北斗七星が北の空高く昇り、カシオペア座が北の地平線近く迄下りてきました。南の空高く春の星座の象徴しし座が昇る頃、南東の空にはおとめ座が、更に東にはうしかい座とヘラクレス座が見えています。

今月は一晩中見えている火星と土星の観望条件が最良です。金星と木星が日没後の西の空で観望出来ます。
3日の金星とプレアデス星団、22日の木星と三日月のランデブーは必ず観望して下さい。

日が長くなるにつれて高緯度のドイツでは観望可能な時間が少なくなります。春の星空は大変おとなしく、しかもトピックも少ないので、もっぱら惑星と星雲星団の観望に専念するのも良いかもしれません。

双眼鏡で観望出来る天体はプレアデス星団(M45)、ヒアデス星団アンドロメダ大星雲(M31)とペルセウス座の2重星団(h-χ、エイチ・カイと読む)、散開星団(M34)とオリオン座大星雲(M42)。オリオン座にはウルトラマンの故郷「M78星雲」も有りますが、これは望遠鏡が無いと見えません。おおぐま座の子連れ星雲(M51)と銀河カップル(M81とM82)は是非一度大型の望遠鏡で観望して下さい。

牛かい座としし座の間には大変目立たないかみのけ座が有ります。ここにはかみのけ座銀河団が有ります。大変暗い場所ならばぼーっとした二等辺三角状に銀河が集まっているのが肉眼でも分かります。大型の望遠鏡ならば何とか一つ一つが星で無く、銀河である事が分かる程度です。

太陽の活動が目立って来ました。オーロラの季節は既に始まっています。既にドイツの最北端では既に低緯度オーロラが観測されています。北欧でも日が又短くなって来ましたが、まだまだライブカメラで観望することが出来ます。真っ赤な低緯度オーロラも見ものですので、磁気嵐の時はデータを見ながら北の空に注意を向けましょう。データのリンクはこちら


4月の天気

4月15日0時頃の空

南の空 北の空

拡大するには画像をクリック。

トピック

3日22時 金星とプレアデス星団が接近(西、高度20度)**必見**
15日 土星が衝
18日 水星が西方最大離隔
22日20時 木星が月に接近(西、高度15度、間隔1.5度)**必見**
比較の尺度:月の視直径は0.5度(30分角)

惑星の位置関係と暦

写真集「惑星ランデブー」

太陽

日出、日没

月出、月没

惑星

今月の
内惑星の位置
外惑星の位置
惑星の暦
水星
18日に西方最大離隔となる彗星は下旬頃に東の空で観望出来ますが、地平線に近いところを移動するので、大変見つけづらいでしょう。
金星
今月の金星は南西の空で輝きます。光度も-4.7等と大変明るくなります。1日から5日に掛けて金星がプレアデス星団を通り過ぎます。3日に最も接近し、双眼鏡でも十分観望出来ます。望遠鏡で見る金星は視直径38秒角、日照面27%の三日月です。
火星
先月衝となった火星は、一晩中観望できます。光度は-0.7等迄落ちますが、明るい赤い星が夜南天を渡って行くのが観望出来ます。
木星
没の早くなった木星は日没後のみ観望可能です。光度は-2.0等を保ちます。22日には日没後の西の空の低い所で細い三日月とのランデブーが観望出来ます。
土星
15日に衝となる土星は一晩中観望できるようになります。
天王星
先月24日に合となった天王星は観望出来ません。
海王星
3月19日に合となった海王星は未だ太陽に近いので観望出来ません。
冥王星
6月29日に衝となる冥王星の出は早くなりますが、大変暗い星なので観望は難しいでしょう。

流星群

おとめ座流星群 Virginids(VIR)
国際流星機構のリストから外れてしまった地味な流星群です。
出現量も一時間一個程度なので、活動と言われるにはレベルが低いからでしょう。

出現期間 1月25日〜4月15日
極大 4月上旬
出現規模 1個/時間


こと座流星群 Lyrids κ(LYR)
突発的に100個程の流星を降らせたことも有りますが、通常は一時間に5個程の活動をする流星群です。しかし火球クラスの流星や、痕を残すものもあり、注意が必要です。輻射点の有ること座は夜20時頃から北東の空から昇ってきます。今年は新月に当たるので、観望条件は最良です。

出現期間 4月16日〜4月25日
極大 4月22日7時30分
出現規模 18個/時間


みずがめ座η流星群 Aquiriids η(ETA)
みずがめ座η流星群が4月下旬から5月にかけて活発になります。輻射点が高くなる南半球ではかなりの出現は見込めますが、北半球での大出現は望めません。空には満月が有り、条件も良くありません。

出現期間 4月19日〜5月28日
極大 5月5日
出現規模 7個/時間